2004年10月17日

【感想】二一世紀のエネルギーと環境【むしろ論述】

自然と人間シリーズ(新日本出版社)
『二一世紀のエネルギーと環境』 中島篤之助・著


初版は1995年9月です。
母がシリーズで購入しました。
おそらく初版です(第二版とか書いてない)
9年間本棚で眠ってました(爆)
ようやく読みました。

いわゆるエネルギー工学の入門書みたいなものでした。

一般的なイメージでは「エネルギー問題の本って10年も経つと役に立たないのでは?」と思われるかもしれませんが、全く問題ありません(^^;
新エネルギーが発見or開発されるのに10年という期間はあまりにも短すぎますし、実用化するにしても短すぎます。
ただ、社会情勢は10年間でも二転三転するわけですから、注目されるエネルギーはコロコロと変わっていきますので、前述のイメージが起こってくるかもしれません。
研究屋には常識のエネルギー利用も、一般的に見れば新技術だったりするのはそのせいです(^^;
もうちょっと研究成果が広く認識される土壌がほしいな……日本はマスコミ頼りの情報網だから仕方ないかもしれないけど。
この20年ほどの間になんとか実用化に向けて動いているのは「太陽電池」と「燃料電池」と「天然ガス」……なんとか「風力発電」くらいかな?
「コージェネレーション」(ビルなど大きな建物で、自家発電を行うシステム。発電時に発生した熱で冷暖房・給湯も行うことでエネルギーのロスを抑える)も最近は盛んですね。エネルギーの観点ではなく、金銭的な観点から普及が広がっているようですが……

現在、僕は大学で『エネルギー変換工学』の講義を取っています。
エネルギー変換工学のはじめは、「現在世界が抱えているエネルギー問題」がテーマなので、ちょうど合致していました。
講義で出てきた『サンシャイン計画』、講師がサラッと流してしまったのですが、僕は名前こそ知れ、それがなんなのか知りません(苦)
この本で読んで、ようやく「石油に代わる新たなエネルギー源の研究計画」であることを知りました(^^;
そうか、講師の年代(30代半ば)には常識として認識されているのか……
あわせて『ムーンライト計画』(省エネルギー研究)のことも知りましたし『新サンシャイン計画』(サンシャインとムーンライトの複合的研究)のことも知りました。
まさに今、北半球の工業先進国が問題としている点を、30年ほど前から研究していたんですね。全然解決してませんが(ボソッ)

ひとまず、この分野に関しては我が大学工学部の山根浩二教授(学部・院「エネルギーと動力」専攻)に頑張ってもらいたいです。
現在「植物油バイオディーゼル」の研究(早い話が、ナタネ油や木タールでエンジン動かす試み)をしていますです。実用化にはまだ遠い……。
ここの研究室、大学の隠れ名物「風車」も所有してます……手広いな、山根研(謎)
環境科学部も誰かがやってたはずなんだが……誰だっけ(苦)


しかしまぁ、研究は研究で進みますが、経済の分野になると、10年間ほとんど情勢は変わっていませんね。
相変わらず消費化石燃料は石油が1位ですし……
昨今の原油価格高騰が笑い事じゃすまなくなってきていますしね……第三次オイルショックか?

そして原子力発電所や核弾頭による放射能問題……。
具体的な数値をはじめて知ってかなり背筋が凍る思いだったんですが、核弾頭1発に使われているウランは1キロ程度なんだそうです(汗)
ウランの密度が約19[g/cm^3]ということですから、見た目にはソフトボールくらいなんでしょうかね(´A`;
まぁ、核弾頭として使用するには、核分裂を促進する技術が必要になるんですが……なんて恐ろしい。
はじめ研究者が「新たなエネルギーとしての利用」を願っていたのに、こういう形になるとは。

まぁ、「リスクのないハイリターン」などありえないのは自明ですが。
そのリスクにどこまで眼を瞑れるかがある意味の勝負かもしれません。
いわゆる「原発推進派」は「事故は起こらない」という安全保障的な考え方をしている人たちではと思ってしまいます。
「事故は起こる」のは「あたりまえ」だから「そのときにどうするのか」を考えておかなければいけないと思います。
船の座礁事故で流出する重油(これ、船の動力に使う油で、商品の油ではないそうです)だって、最悪の場合を想定していないと対応できないですよ。
でも、東海村の放射能漏れ事故は、その原因を聞いたとき絶句しましたがね……
確かに通常の精製ウランからでる放射線はほんの短時間程度なら問題ないはずですが、アレはないだろ、アレは(滝汗)

東海村の放射能漏れにしろ、美浜原発の水蒸気漏れにしろ、共通しているのが「無知ゆえに引き起こされた事故」なんですよね。
技術者や方面の教授に言わせると「起きてあたりまえ」の事故が起こってしまっています。
むしろ「あたりまえすぎて」技術者が伝えないという事態も起こりえますが……(´д`;

誰だってお金がかかることに関しては「使える限りは使い続ければいい」と思ってしまいます。これは日本人としてあたりまえの感覚だと思います。
でもここが難しい問題です。
“オリフィス流量計では圧力の降下によってキャビテーションが起こり、金属が侵食されていく。近年は研究が進み、オリフィス機構の寿命を(安全側に)見積もることが可能になっている。ただし寿命以降の安全は必ずしも保障できない”ことは、流体力学かじった人間には常識ですが、かじったことない人は知らないでしょうし……(当然だ)
興味のないことに、みんな関心を持たないので、事故がおきるまで「知らない」という事態が「あたりまえ」におきてしまう現状。
これが「あたりまえ」であることを、皆さん認識してください!
殺人・強盗などの犯罪だけではありません、このような事故だってどこでも起きます。
世界のどこにいても「事故は起きてあたりまえ」ということを認識してください。
いわゆる「危機管理」をしてください。

技術者に近い立場の人間から言える、数少ないアドバイスです。


そして、頼むから、マスコミよ。
もうちょっと、報道の仕方を見直してくれ。




というか、中学生(当時)の僕にこんな本を読ませようという母上の考えがわかりませんもうやだ〜(悲しい顔)
何考えてるんだか、あの方は。
結局今まで放置されていた罠。

参考資料↓
滋賀県立大学「エネルギーと動力」研究室http://mech1.mech.usp.ac.jp/~prw/index.html

「原子力図書館 げんしろう」http://mext-atm.jst.go.jp/index2.html
posted by 青葉和 at 13:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想文? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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